遺伝学の発展によって、遺伝子と疾患の関わりについて解明が進んでいます。事前に遺伝性疾患があるかどうか調べる出生前診断や、特定の疾患の発症前予測も可能になりました。遺伝子の異常によって起こる疾患は、誰でも発症する可能性があります。健康への意識が高まる中で、疾患予防に関するニーズも増加しつつあります。
遺伝医療は、将来疾患をわずわないように備えることを目的としており、近年注目を集めています。2016年には、専門看護師の分野の1つとして、遺伝看護が設立されました。
遺伝医療に関わる看護師の役割は、遺伝性疾患の患者に対しての治療サポートや、必要な情報提供を行うことです。遺伝子が健康にどのような影響を与えるかを、患者自身とその家族に適切に助言するのです。
遺伝性疾患は、治療後もその疾患と付き合い続けなければならないケースが少なくありません。安定した生活を送れるよう、患者を支えていくことも看護師には求められます。
まだ疾患を発生していなくても、発症リスクが高い可能性を持つ人に健康維持のアドバイスをすることも遺伝看護専門看護師の役割といえるでしょう。遺伝子の問題を知った患者は、精神的ショックを受けるケースも多いです。看護師は不安に思う患者や家族に寄り添い、心理的なケアも行います。
看護師が相談に応じるのは、患者だけではありません。チーム医療の中で他職種とも情報を共有しながら、遺伝医療に取り組むことが求められるのです。