遺伝性疾患は、従来生活習慣病とされた虚血性心疾患や、骨粗鬆症なども多因子遺伝疾患として含まれることが徐々に明らかになり、注目されています。大学病院でも遺伝子診療部が開設され、家族性の疾患や先天異常の症状を抱える患者の救済機関の役割を果たしています。
こうした医療機関では、患者の療養生活の相談や患者家族の支援といった分野で、看護師の活躍が期待されています。特に出生前診断に関しては、障害児だった場合の倫理的判断が求められます。子どもの生命を左右する判断を迫られる母親や家族の精神的サポートが、看護師の重要な役割と言えるでしょう。そこで、遺伝性疾患に関する専門的知識を持つ看護師の養成が急がれています。
看護師が遺伝学を学ぶ機会を充実させるため、認定遺伝カウンセラー制度が始まりました。さらに、日本遺伝看護学会は遺伝分野の専門家として、即戦力となる看護師を育成するための看護教育の見直しを図っています。
看護系の大学院では、既に遺伝看護の教育が行われており、2016年には遺伝看護専門看護師の制度がスタートしました。専門看護師とは、看護系の大学院を卒業した看護師が、一定期間の実務経験を経た後、研修を受けて認定審査に合格すれば取得できる資格です。
専門看護師の分野は、感染症看護や慢性疾患看護など多岐にわたっています。遺伝性疾患の治療にあたる医療機関で専門的な知識を生かして活躍したいなら、遺伝看護専門看護師の取得について考えてみるのもいいでしょう。